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インドネシア通信 『独立記念日』・・・の巻き

                            神谷 典明 

8月15日は日本の終戦記念日、実質上は敗戦記念日であるが
故からか重苦しい雰囲気が漂い『二度とこの過ちを起こしません』
という誓いを全世界に対して日本国民が毎年確かめ合う日となってしまいました。
本当に確かめなければならないのは国民ではなく国家政府でしょうに
それを国民にさせるのは納得が行きません。
最大の被害者は日本国民であり加害者は当時の帝国陸海軍を含めた日本政府なのですから。

これに対して送れること2日の8月17日はインドネシア独立記念日です。
オランダ統治から逃れるための独立宣言を
スカルノ・ハッタ正副大統領が行った記念すべき日です。
インドネシア国民は喜んでこの記念日を迎えます。
毎年この日が近くなると街に国旗売りが出現します。
会社も官庁も普通の家々も赤白のインドネシア国旗を飾ります。
一時期インドネシア全土が赤白に染まるのです。

ここスマトラ島ジャンビ市でも街の主要道路を交通規制して行われます
それは『バリサン』といわれる行進です。
学校単位、官庁単位、村単位、地区単位で住民自身が工夫を凝らした衣装を着て
街の真ん中を練り歩くのです。(日本の時代行列のごときものです。)
   
ジャンビでは朝8時に始まり午後1時過ぎまで続きます
これを住民総出で見学するのです。
出るもの住民、観るのも住民、
みんな行列の中に子供や親や友達を見つけて、ワイワイと楽しそうに観ます。

周りには屋台が出てこの賑わいを商売にします。
日中の暑い最中ですので兎に角口が渇きますので砂糖キビジュース売りが大賑わいです。
これを横目に、『子供の頃これを買っておやつ代わりによく噛んだな・・・』、と
しばし45年前の思い出に浸りました。

待つことしばし、学生の旗隊がやってきました。
これを横目に、
『インドネシア語もわからない駐在当初、
タラカン島で不安を抱えながらこのバリサンを観たな』・・・と
しばし29年前の26歳の自分にタイムトラベルしてしまいました。

バリサンは最後に審査員の審査を経て順位が決まり、応分の御褒美が出るそうです。
出て喜び観て喜び、そして褒美を貰って喜ぶ。
インドネシア全土(市)で同時刻にこのような催しが行われているのです。
きっかけはともあれ国の成り立ちを笑顔で祝う、羨ましい光景です。
果たして日本は・・・(?)