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インドネシア通信 

インドネシア庶民の知恵、『ジャカルタ研修床屋』…の巻き

 

インドネシアの庶民は凄いです。

日本から見ると決して裕福でも快適でもない生活環境の中で

したたかに明るく、そして、けなげに生きております。

まさに、『どっこい生きている』、といった感じです。

そのしたたかさ、明るさ、けなげさを具体例をもって紹介します。

 

今回はジャカルタのブロックMで体験した『研修床屋』を紹介します。

 

日本であれば東京の若者文化発信地、渋谷のごとき場所がジャカルタの

ブロックMです。

見方によっては歓楽街新宿歌舞伎町にも見える実に不思議な地区です。

この地区内のホテルに住んではや10年、インドネシア人から受ける誤解

リスクを除けば、ビジネスにも生活にも便利で快適な地区です。

何でも歩いて行ける所に在ります。

日本レストランもカラオケバーも、トルコ風呂(古い表現です。死語です)

でさへも歩いて行けます。

勿論買い物(必要なもの、人?)は全てが歩いて出来るタクシーレスな地区

なのです。

 

髪が伸びて来ました。

日本で床屋に行き忘れたのです。

床屋に縁の薄い(頭の薄い)弊社ジャカルタ代表に探すよう頼みました。

たちどころに案内してくれました。

床屋に縁の薄い頭の割にはチョクチョク来ているのだそうです。

その看板を見て驚きました。

 

何と床屋の学校なのです。

先生も学生も客を受けます。

勿論経験豊富な先生は料金が高く、経験の少ない学生は安いのです。

その料金は先生で12000ルピア(約120円)、勿論髪のある小生は

先生に担当してもらいました。

 

先ずは洗髪、

前屈みになって洗う日本と違い、後ろにそっくり返って仰向けで洗って

もらうのです。 この方が前屈みより気持ちいいですよ。

 

次は散髪、

バリカンで先ず大まかに刈り上げ細かい修正を鋏でする感じでした。

 

これで終わりです。髪を乾かしてくれただけです。

ひげは?

髭剃りはないそうです。

昔、タラカンで髭を剃ってくれと言ったら電気カミソリを渡されました。

自分で剃れ…、だって。

髭を剃らないのはインドネシア全土同じようです。

 

その代わりクリンバスと銘打った頭の髪にネバネバした薬剤を擦り付けて

頭皮をマッサージする非常に気持ちの良いコースが別途有料であります。

手や足を揉むコースも別途有料であります。

男でさへも爪を手入れするコース(ペディキュア?)が別途有料であります。

気分よくなって勧められるままにこれらのコースを受けますと高いものにつきます。

 

昔、原木を買い付けに行ったマレーシアでは、シッパーの挨拶が

『床屋へ行った?』、でした。毎日こんな挨拶を言い合うのです。

こいつらあんな顔してもの凄いおしゃれだな!、と感心してはいけません。

床屋では別のサービスがあったのです。

床屋の中をず~と奥へ入って行くとそのサービスの内容が判ります。

判れば、『実に木材屋らしい挨拶だ!』、と納得できます。

 

世の中にはこんな楽しい床屋があるのです。

ジャカルタの床屋は真面目過ぎるな、と変な感心をしました。

 

ところでこの床屋を紹介してくれた床屋に縁のなさそうな弊社ジャカルタ代表は

一体何をしに床屋へ行くのでしょう?

髪を切ったら無くなってしまいます。

髭は剃ってもらえない。

あとは洗髪だけです。

でも、洗髪と言うほどに洗う髪があるようにも見えません。

お前は一体何をしに行くんだ?

 

答えは、『チョコっと切った気になって、サッと洗った気になって』、

8000ルピア(約80円)払うのだそうです。

それを10日に一回も…!!!

勿論、研修生の仕事でした。

 

ある人は有るなりに、ない人は無いなりに、誠意を持って遇してくれる、

実に気分の良い研修床屋さんでした。